この作品自体がエンドロールで研究費や大学組織の方の名前を 見かけたので、 この作品はTCの活動を広げるための運動映画なのかもしれない。
受刑者の子供時代の話しはどれも聞いてて痛々しい。そして、 その痛々しさから逃れるために自らに蓋をしている。 家庭の問題があるので、 その結果として彼らの意思や主体に関わらず犯罪を犯してしまうと いう、構造主義的な考えは確かに理解できるし、 この作品を観た印象として、彼らのみに問題があるとは思えない。
刑期を終えた後でもOB会のようにTC受講者がたまに集まっていることを 映されるが、あんな体験を共にするなんて、 シャバではほとんど体験できない濃密なコミュニケーション だ。しかもそれが、刑務所に入った仲となれば、 その濃密さは私のように刑務所に入ったことのない人には想像もつ かない。
その中でおじいさんが居たのがかなり気になる。30、 40代でもまだまだ人生が長いのでこのTCについても効果が強い と思うが、おじいさんとなると自らの人生経験が豊か過ぎて、 TCの効果はどうなのか分からないと私は思ってしまう。
この作品では受刑者は最後のシーンを除いて全て顔にモザイクが掛 かる。けれど、細かいモザイクの為、表情は読み取れる。 刑務官とTCプログラム講師は顔出しででている。 TCプログラムの方はそこまで長時間ではないだろうけれど、 刑務官は長時間、この刑務所に勤務をするため、 どのように感じるのだろう。やはり、 人をここまで監視すること自体精神を磨り減らしてしまわないだろ うか。特に時限付きで配置転換があるわけでもなさそうだが、 この方々の受けるストレスも相当ではなかろうか。