TはTOKYOのTのブログ

映画ログを中心にしております。映画館での鑑賞が中心です。旧作より新作が過半数を超えるのが方針としてます。

プリズン・サークル/坂上香

TCは4万人の受刑者内40人しか受けられないとのことなので、そこを比較して他の受刑者より再犯率は半分以下っていう数字のデータをどう読めばいいだろう。
 
受刑者のなかでも見込みのあるエリートの若者のみが受講できるのかな。製作会社の名前がout of flameと名乗っているのだから、そこにも着眼したい。若者のみが取り上げられるのもどういった意図だろう。あの参加者は声しか分からないが、そこそこの40代越えている方も居るっぽかったので20代のみを取り上げるのは意図を感じた。そりゃ生きている時間の内20代は子供時代の占める割合が長いので子供時代の体験が人格形成にとても大きな役割となるのは理解ができる。このTCは何歳に対しても有効なのだろうか。
 
この作品自体がエンドロールで研究費や大学組織の方の名前を見かけたので、この作品はTCの活動を広げるための運動映画なのかもしれない。
 
受刑者の子供時代の話しはどれも聞いてて痛々しい。そして、その痛々しさから逃れるために自らに蓋をしている。家庭の問題があるので、その結果として彼らの意思や主体に関わらず犯罪を犯してしまうという、構造主義的な考えは確かに理解できるし、この作品を観た印象として、彼らのみに問題があるとは思えない。
 
刑期を終えた後でもOB会のようにTC受講者がたまに集まっていることを映されるが、あんな体験を共にするなんて、シャバではほとんど体験できない濃密なコミュニケーションだ。しかもそれが、刑務所に入った仲となれば、その濃密さは私のように刑務所に入ったことのない人には想像もつかない。
その中でおじいさんが居たのがかなり気になる。30、40代でもまだまだ人生が長いのでこのTCについても効果が強いと思うが、おじいさんとなると自らの人生経験が豊か過ぎて、TCの効果はどうなのか分からないと私は思ってしまう。
 
この作品では受刑者は最後のシーンを除いて全て顔にモザイクが掛かる。けれど、細かいモザイクの為、表情は読み取れる。刑務官とTCプログラム講師は顔出しででている。TCプログラムの方はそこまで長時間ではないだろうけれど、刑務官は長時間、この刑務所に勤務をするため、どのように感じるのだろう。やはり、人をここまで監視すること自体精神を磨り減らしてしまわないだろうか。特に時限付きで配置転換があるわけでもなさそうだが、この方々の受けるストレスも相当ではなかろうか。