TはTOKYOのTのブログ

映画ログを中心にしております。映画館での鑑賞が中心です。旧作より新作が過半数を超えるのが方針としてます。

2023年6月鑑賞映画

怪物

109シネマズ川崎

前作のいかにも巨匠な自らのシマで取ったような退屈さはないけれど、かといって圧倒されるほどでもない映画。君は良い子のような圧倒的な演技と全く思わない。
タルコフスキーのストーカーが好きなのはよくわかった。先週観たtarでもオマージュしていた。いじめられっ子と裏でつるんで、助けないような子供は大人になってもそんな人になるんだろうな。子供の同性愛とかより、そこが気になってしまう。助けてくれない男を彼氏にしてもしょうがないと思うがどうだろう。
後半40分ぐらいの答え合わせがつまらない。息子のクィア性に気付かない安藤サクラより、はっきりとその事を知り、動揺して恐らく虐待をしている中村獅童の視点の方を導入したほうが、子供の性をどう観ればいいのかという、更に踏み込んだ論点に進めるのにしないで、聖なるLGBTとしてふんわりと置きっぱなしにする。この映画の男子同士のキャッキャに同性愛を感じられなかった。これぐらい誰でもありそうなのに。だからこそ、予告でLGBTを描いた映画というのは伏せて置いたのかな。

好き嫌いは置いといて、tarやエゴイストは同性愛者の権力性や商品としての性に踏み込んで、聖なるLGBT像を打ち壊そうとしているが、この映画では子供というのを足して、聖なる子供・LGBTにしてしまっている。天国としてのラストにも二人とも天国に行けるような人間だったかと疑問が残る。安藤サクラの息子は地獄に落ちるべきである。最初の段落に戻るが、自分はいじめっ子グループとつるんで、自分が可愛くて表向きには助けてくれない男を彼氏にしてもしょうがない。田中裕子に語らせる嘘も方便なんだという話の凡庸さもよく分からない。そんな言葉私でも言えそうだ。そんな一般化した言葉聞かせても何が面白いんだ。

 

 

雄獅少年 ライオン少年

109シネマズ川崎

スポ根ものの憧れの人物が、自らの経済状況を想像してもらえないという苦い経験を描くなんて、観たことない。挫折としても、親が倒れて仕事にでなければならなくなりつづけられないなんてきつすぎる。人生は苦しいが屈するなというメッセージのゴツさに感動する。戒めのための高い塔に登ろうとする愚行を、自滅してでも瞬間の輝きに魅せられてしまうことがあったっていい。獅子舞で人生を変えられることもないし、成功したって人生は苦しい、それでも輝きたいという情熱が素晴らしい。

 

 

殺し屋ネルスン

シネマヴェーラ渋谷

ドン・シーゲルの作品はstrangerで満員で観れなかったが、ヴェーラで特集をしてくれてうれしい。本作は蓮實重彦がさんざん自著などで擦ってきた持ちネタなので、やっと観れた。これが、かなり語り口が早い。私の去年のベストに挙げた「それがいる森」にも通じる簡潔で迫力がある語り口で楽しい。

 

復讐!反ナチ地下組織

シネマヴェーラ渋谷

ジーン・ネグレスコ監督。スパイ映画としてとても楽しい。フライングダッチマンの異名を持つナチスレジスタンスのスパイ劇。

 

北部への追撃

シネマヴェーラ渋谷

ラオール・ウォルシュ監督。この作品がとても楽しい。誰が観たって面白いような映画。語り口が簡潔で演出も実直なのが良い。

 

 

贅沢は素敵だ

シネマヴェーラ渋谷

資本主義プロパガンダ映画。二ノチカも引き合いに出されるのが理解できる。

 

 

ママボーイ

飛行機

英語字幕で鑑賞。原題:初戀慢半拍/MAMA BOY。飛行機のなかで映画が観れたので観てみた。調べてみると2023年7月に日本で公開されるらしい。童貞で子供部屋おじさんで母親の支配下に置かれているけれど、ナイスな男が恋愛をするために、いろいろ経験してみるが、風俗店での受付のオーナーの一回り以上年上の女性に恋をする。ラブコメとしてとても丁寧で心地よい。日本で公開されたら改めて観たい。

 

スリングショット

飛行機

台湾・香港合作。原題:叱咤風雲 Ne Zha。前に「アライブ・フーン」でドリフトへの愛に圧倒されたが、この作品では、レーシングを扱う。86が出てくる辺りから頭文字Dって影響力でかいな。

 

ことの次第

新宿武蔵野館

武蔵野館には、毎日来ている常連がいるような気がする。いつもとある2022年のストップモーションアニメ映画のTシャツを着ているような。大学生になって映画に興味をもった時にTSUTAYAで借りて観た記憶があった。当時はかっこいい映画と思っていたが、最近ヴィム・ヴェンダースを何作か観て正直言ってあまり重要ではなく、つまらないという意味での静的な作品が多くて、なんだか頭でっかちなのも鬱陶しく感じているが、今観るとどうか。ラスト近くのキャンピングカーは青山真治の「ユリイカ」が影響を受けているのかな。主人公の口から「映画はストーリーで見てはいけない」とはっきり口に出すのも、ダサく見えてしまう。「捜索者」、観たことありません。

 

細い目

目黒シネマ

初見の監督。金城武ウォン・カーウァイ、ディカプリオ、ジョン・ウーなどの固有名詞の使い方が面白い。更に植民地についての取り扱いも面白い。ラスト近くの妊娠させちゃったけど、良い男とされている男が原付で事故って死ぬのはどう見れば良いんだろう。男に都合が良すぎて気になる。それ以外はとても品が良いのに。ヒロイン役のお父さんがスキンヘッド、髭、デブという分かりやすく面白い見た目で、そのおっさんがブリーフ一丁になるのが、面白い。

 

Sepet": The cast 10 years later | News & Features | Cinema Online

 

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー

目黒シネマ

年齢、セクハラ、俺はあの人の知り合いだという不愉快な話を映画館スタッフにする老人がいた。公開当時から評価のされかたがすごくて、進学校と聞いていたのでなんとなく観ないでいいやという気分になってしまった。こっちは偏差値50切るような高校を出たのでそれどころじゃないんだと思ってしまっていた。文化問題より経済問題の方が切迫してる人間にとって全部どうでもよく見えてしまう。ジジとジャレッドの虚しさの方が印象に残る。

 

スーパーバッド 童貞ウォーズ

目黒シネマ

昔、DVDで観て大好きな映画だったけれど、10年ぐらい経ったからか随分見え方が変わってしまった。当時は、偉そうにしているウザいジョナ・ヒルに注目していたが、今ではマクラヴィンに注目してしまう。この警察の横暴っぷりを楽しめていたのも懐かしい。ジョナ・ヒルがアルコールで女性を潰そうと言うが今見ると可愛く思えない。

 

カード・カウンター

ヒューマントラスト渋谷

ポール・シュレイダーって年齢的にも評論もしていることを考えると日本で言うと荒井晴彦みたいな存在なのかな。前作の「魂のゆくえ」でも陰気で日記をつける男が決断して勝ちこむ展開。山上の安倍銃撃事件をテーマにした「REVOLUTION+1」をポール・シュレイダーが撮ったらとてもハマってしまいそうと不謹慎なことも考えてしまう。カードカウンターって本当にあるカジノの手法と聞いたことがある。賭博映画って定期的に作って欲しい。もう一度見たいぐらい気に入ってしまった。満員だったので、拡大公開されそうな気がする。

 

ザ・フラッシュ

Tジョイプリンス品川

この人がエズラ・ミラーか。配合で言うなら、堺雅人トータス松本を足して2で割って、バリー・コーガンでまとめたような不思議な顔だ。日本人にもそのまま居そうな顔でもある。おこがましいが、私が20キロぐらい痩せたら似てるような気もする。ゴシップでたまに名前を聞いていたが映画で中心的な配役で観るのは初めて。人生の別れに対しての大人な態度が心地良い。アメコミ好きのネタは良くわからなかったけれど、そこもそんなに気にならない。この後書く他の映画とのシンクロニシティについては別途記事にした。

 

探偵マーロウ

TOHOシネマズシャンテ日比谷

リーアム・ニーソンラソンをしているような気分だが、今回ではこの「探偵マーロウ」と「ブラックライト」が良かった。映画小ネタなどがうれしいし、最近見た「ロング・グッドバイ」のトーンともちゃんと共振している。少しストーリーが分からなくなるけれど、そこも敢えてなのかな。

 

スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース

吹替と字幕dolbuatomosで2回鑑賞。絵柄がバラバラなのが刺激的で疲れる。私もこの映画のミゲルみたいに、誰もの人生が同じようなものなのかもしれないと思ってきているので、主人公の決断はあまりピンと来ない。程度の差こそあれど、親と子では親が先に死ぬのが一番穏当な死に方と言っていい。親と子で子が先に死ぬのならとてもつらい。親が先に死ぬのが世界のカノンイベントに思えてしまう。

 

忌怪島 きかいじま

シネマサンシャイン平和島

金曜の21時からの上映で完全に貸し切り状態。人生3度目。1回目は3連休中土曜日19時からのkino cinema横浜「よだかの片想い」2回目は日曜20時キネカ大森「すずめの戸締まり」。和田光沙と祷キララというどちらも素晴らしい役者が狂女的な役回りをしている。どちらも素晴らしい。実直な作りだと思うけれどもう少しユーモアを入れて欲しい。カメラで撮っているシーンかと思いきやカーブミラー越しというトリックショットが面白い。

 

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE

TOHOシネマズ川崎

映画館では珍しく若い人が多い。男女比も半々ぐらいで皆なんとなくシャープな印象の方が多かった。入管法や植民地についての言及など政治意識がしっかりあるのも良い。テロ描写があったのも驚いて、記事を書いた。



ボブ・クレイン 快楽を知ったTVスター
Amazonプライム
ポール・シュレイダーの「カード・カウンター」があまりに良いので、この人のキャリアをちゃんと追ってみようと思い鑑賞。本作ではマイケル・ガーボシというこの作品以外あまり表立ったキャリアが

ない方が、脚本を担当している。とはいえ、かなりポール・シュレイダーの色は濃く、ところどころ主人公のナレーションがしたり、宗教に救いを求めたり、ラストの殺されてから朝をワンカットで迎える照明などは「カード・カウンター」や「魂のゆくえ」ともつながる。ストーリーとしては、取り巻きがソニーで営業をしているため、ビデオカメラを手に入れてハメ撮りをしまくる。ヤリまくるのは、欲望として珍しくないが、ビデオカメラで自らを撮りたいというのは、どういうことだろう。「ビデオドローㇺ」や「VIDEOPHOBIA」などでも少し触れているテーマだ。エルヴィスの名前も出てくるが、あの映画と同じくフェイマスになると友人がいなくなる感覚が寂しい。まだまだ、観たい。

スーパーマリオブラザーズ
TOHOシネマズ渋谷
渋谷TOHOは初めて。吹き替えでも観たくて、鑑賞。

ワイルドスピードシリーズ1~9
配信

 

海外

新作7本
旧作8本

配信11本

計26本

 

日本
新作3本

計3本
合計29本