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映画ログを中心にしております。映画館での鑑賞が中心です。旧作より新作が過半数を超えるのが方針としてます。

巨匠たちのサイレント映画時代2023~ハードボイルド篇

サイレント映画でどうしても観たかったのが内田吐夢の警察官でこの神保町シアターのチラシを観てから、ずっと気になっていた。以前にシネマリンで警察官の上映会があったがタイミングがあわず、悔しい思いをしていた。
内田吐夢の「警察官」と小津安二郎の「非常線の女」が今回の特集で上映される。どちらも名高い巨匠だが、内田吐夢は上記のシネマリンの上映を見逃したというのと、その間に菊川のStrangerで観た「恋や恋なすな恋」というサイケデリックメロドラマに度肝抜かれて、内田吐夢の優先度が上がった。小津安二郎は、サイレント期の方がキレていたのではという仮説や読めていませんが慶應出版の以下など

 

小津はサイレント期が良いという噂は聞いていたので期待は大だった。いずれの作品もピアノ伴奏で観た。

 

内田吐夢警察官」ピアノ伴奏:小林弘人
もちろんこの映画自体にも興味があったが、この映画の基となった赤色ギャング事件自体に興味があった。ロシア共産党の崩壊や共産党内部のスパイなど政治的興味としても、映画的興味としても面白そうだと思っていた。映画では、警察官の小杉勇が、高校時代の友人の中野英治とばったり合い再び交友を温めるが、どうやら自らが捜査している銀行強盗の犯人グループではないかと疑いだす。この映画の特に好きなシーンはビリヤード場を中心にした、長屋を走り回る小杉のシーン。上から図式化すると以下の1~3に小杉が走り回るがそれをカメラは方向のみを変えて映す。カッコいい。この撮り方真似して良いと思いますが、なかなか観たことない。
警察官
終盤のチェースではカット数と早回しで上がり興奮する。
 
小津安二郎非常線の女」ピアノ伴奏:天池穂高
田中絹代のファッションが最高。水久保澄子が田中絹代に誘われて外にでる時に着物にロングコートを合わせるのも痺れる。田中絹代はボクサー崩れのヤクザの恋人役。暴力の時に、その後周囲の人間がマスゲーム的に同じタイミングで振り返る演出がカッコいい。また、岡譲二が田中絹代とモメて、荒れてバーで飲んでいる時に、カクテルグラスを片っ端から割っていくのがカッコいい。やってみたい。一つ10円と劇中で出てくるが、https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000221662
上記のリンクから考えると今の銀行の給料が23万程度かと思うと、銀行の給料が昭和4年=70円らしいので、今の貨幣価値でいうとグラス一つ3万ぐらいらしい。ピストルと田中絹代が可愛い。撃ってから泣きつかれるなんて人生で一度ぐらい体験してみたい