TはTOKYOのTのブログ

映画ログを中心にしております。映画館での鑑賞が中心です。旧作より新作が過半数を超えるのが方針としてます。

2023年3月鑑賞映画

1.sin clock
kino cinema横浜みなとみらい
編集と音がひどい。テンプレートのキンキンBGMで嫌な予感がしたが、ずっとひどい。jin dogが出演していたり、jinmenusagi、Awichを使っているので音楽が好きなのかもしれないがベタベタ鳴らし過ぎ。プロデューサーにamebaの藤田が名を連ねているので、使うように指示したのか。監督は音楽に対する意識が低すぎる。もしかしたら、録音が暗転明転、フェードイン・フェードインを使い過ぎというかほぼずっと使っている。一般的映画リテラシーだとそれを使うと時間経過を示したり、その後については恐ろしすぎて描けないという場合やドラマのCM繋ぎの印象がある。以前に自主制作で映画を作っている人が同じように、暗転明転、フェードイン・フェードアウトばかり使っていた。この自主制作の彼と同じレベルの製作者なのかもしれない。嫌な言い方をすると皆、映画を観たことがあるのかと問いたくなる。曲がりなりにもアスミックエース配給なのだから、プロデューサーなりが口出しして欲しい。もしかしたら編集や音楽がおかしいのは、皆あまりキャリアがある人ではないのでこんな作品になってしまったのかもしれない。こんなレベルの映画を金払って映画館でわざわざ観たくない。
また、窪塚の前職の仕事を何故彼が辞めるのかわからない。法人営業を本当にしたことがあるのか?なくても構わないが調査をすれば、仕事を干されるということを全く理解していない。ここで窪塚は辞職ではなく、出入り禁止になるはずだ。本人が退職することもありうるが、なんだか図式的な仕事の辛さ描写に感じてしまう。

2.いつかの君にわかること
kino cinema横浜みなとみらい
端正だけれど、力強い。彼は悲しいけれど、この悲しさの再生産を完全に理解しているようにも思う。でも死んでしまうのはやはり悲しい。どこか受動的な振る舞いを感じる。余命10年や1650日の家族と近い、キツいことはやっぱりキツいという映画群に連なる。

3.エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
TOHOシネマズ川崎
期待をしていたが、肩透かしになってしまった。劇中でなんのために、マルチバースを使うのかよくわからなかった。娘は何でベーグルに入っていくんだろう。理解が出来なかった。マトリックスやウォン・カーワイ、2001年宇宙の旅などのオマージュが楽しいのはわかるが、動機がピンと来ない。娘の闇落ちは、レズビアンであることを祖父に告白させてもらえないからということかな。もっと実存的な承認についての話かと思うがそれも私が理解できなかったということか。ネットミームっぽいユーモアがキツい。編集がクドいが、MV出身

4.ブラックナイト
チネチッタ川崎
リーアム・ニーソンの映画はなるべく観るため、今回も鑑賞。リーアム・ニーソンさすがに体力的に走ったりするのはキツいのか、追いかけている設定だけれど、リーアム・ニーソンは画面に入っていない。そのせいか経済的に撮ることを意識しているような気がする。だけれど、これぐらいのアクション映画はずっと楽しみたい。ステイサムは最近どうしてると思って調べてみたら、仕事を選んでいるよう。


5.マジック・マイク ラストダンス
チネチッタ川崎
シリーズ未見。スティーブン・ソダーバーグはいくつか観たことあるはずだが、以前に「サイド・エフェクト」が年間ワースト級につまらなかった為、ほぼブラックリスト入りしていましたが、それから10年近く経った為、観たが面白い。灰色っぽいグレーディングは、前にも確認したことがある。それと、妙に大人びた娘のナレーションも特徴。ダンスの解放感が気持ちいい。

6.フェイブルマンズ
TOHOシネマズ川崎
ここ3年ぐらい自伝映画がとにかく多いが、観るたびに山田洋二の「キネマの神様」は力強い映画だったなと思う。想像力や歴史改変のパワーが他の「ペイン・アンド・グローリー」や「ベルファスト」と比べて桁違いのような気がする。もちろん原作ものということを考慮しても強い。また、別としては、スピルバーグの近作は最高のスタッフに最高の演出をしているけれど、挑戦的な気はしないなと思っていたが、今作も挑戦的には思えなかった。とはいえ、映画に対するドライな態度は気持ち良い。

7.エンパイア・オブ・ライト
TOHOシネマズ川崎
サム・メンデスロジャー・ディーキンスのコンビは絶対良いに決まっている。内容として映画館を舞台にしていると聞いていたので、もっと湿っぽいノリかと思ったがそうでもない。日本映画で「柔らかい生活」とトーンが似ている。ライティングの美しさは言わずもがな。別れ方もそうね。といいたくなるようなさっぱり感が気持ち良い。

8.おかえり
新文芸坐
寺島進&篠崎誠トークショー付。顔のクローズアップがこの監督の特徴かな。妻が電波系なことを言い出したらどうすればいいか。

9.SHARING
新文芸坐
不思議なカットやジャンプショットとロケ地の立教大学が面白い。文学フリマで買ったビデオ館後藤さんの記事を読んでいて気になっていたがやっと観れた。木村知貴の存在感が楽しい。映画評論家のこうのまりえの名前を見かけた。それにしたって、ドラマ始まりながらのスタッフ、キャストの表示が長過ぎる。

10.共想
新文芸坐
震災の日が誕生日の人だっているはずだ。それを祝福したいというのが、この映画の動機らしい。一度、被写体が出たり入ったりなどするのもこの監督の特徴らしい。

11.DOOR
撮影がここで取り上げた「Fエフ」でも活躍している佐々木原保志。高橋伴明監督は初めて。ジャンル映画でこんなクラシックな作品があるのか。バス迎え送りのジャケットが気になる。ストーカー役が爽やかなのが面白い。せっかくだからなんだろうけれど高橋恵子の服装がゴージャスで面白い。1988年公開だから、日本の景気も良かったはずだが、同時に核家族化によってこんな弱体化が進んでいるということも言えるのか。追いかけまわすシーンを上から部屋を跨いで撮るのが面白い。私の買っているが積読になっている本団地映画論に入っていそうとも思った。ちゃんと読んでみようかな。そのためにも掃除をしなければ。

12.オーファンズ・ブルース
キネカ大森
土地勘が良く分からないまま終わってしまった。ゲイと付き合っていた健忘症の女性が元カレを探すというストーリーかな。CD使いは「LOVE LIFE」より早いのか。別に「LOVE LIFE」の専売特許でもないか。ペンションの女主人ルカ役の窪瀬環が素晴らしい。墨入っているけれど、ググるとそうでもないからメイクなんだろうけれど不思議な存在感でこの映画全体は二十歳ぐらいが中心なのだけれど、彼女だけ10歳~50歳ぐらいまでで何歳といわれても納得するような奥行があって楽しい。以下の「裸足」でもそうだが、女性監督だが、男性同性愛を描くのが特徴的だ。監督の工藤梨穂は京都芸術大学出身でこの映画も卒業制作らしい。映画の名門らしく毛色は違うが阪元裕吾も同期らしい。


13.裸足で鳴らしてみせろ
キネカ大森
同性愛を扱った映画は日本に限っても多く、「彼女が好きなものは」や「世界は僕らに気付かない」など楽しんでいるが、この映画はあまりゲイの実存に迫る気はないらしい。「ゲイ」とこの映画のなかでは一切使わないのも、この映画がどういった立場なのかを逆説的に表しているのかもしれない。事実、この映画の主人公は同性愛体験はこの映画の一人の相手のみ。こういった人ももちろんいるだろう。一瞬の体験としての同性愛というのもあるのか。それだとなんだか、若さや未熟さ、気の迷いとして同性愛を捉えてしまいかねない。そのほか、父親がどこか息子にべったりな態度なのが不思議な関係性だ。ラストはセリーヌ・シアマ「燃ゆる女の肖像」と濱口竜介「THE DEPTHS」を思い出す。

14.エゴイスト
109シネマズ川崎
全体的に動きがあるけれど、クローズアップが多い。これは、人の実存に向き合うぞという演出かな。撮影は池田直矢。そりゃ良いに決まってる。ゲイのセックスをかなり具体的に見せるのは珍しい。鈴木亮平自体もだけれど、つるんでるゲイ友達が皆短髪でガチムチな方向性なのも特徴的。鈴木亮平がゲイの人でたまに見掛ける傲慢な態度が面白い。ゲイの実存を渋く見せつける映画かと思ったら、男の売春をテーマに扱っていた。女性がBLややおいを好きなことを指して「権力勾配のない恋愛を観たいのでは?」という仮説をよく聞くが、男同士でも権力勾配の問題はもちろんある。それが男性と女性の勾配と違うというだけかもしれないと考えさせてくれる。後半はしっとりした疑似親子ものになっていくが、金を年長者に渡すというのはかなり失礼だが、受けとるなら仕方ない。

15.コンペティション
チネチッタ川崎
予告編観た通りの内容でオストルンドフォロワーに位置付けられる。俳優の中も徳として演劇〉映画だが、ギャラとしては逆というのを聞いたことがある。それを知っていると本当にその程度で、近年の映画作り映画の中ではあまり目新しくない。

16.winny
TOHOシネマズ川崎
日本では珍しい実録ITもの。ソーシャル・ネットワークなんかは承認の問題に向き合っていたが、この映画では、いかにして日本社会がIT技術者を潰そうとするかという法廷劇にしている。そのため、目線の主人公としては弁護士の壇。今でもIT技術者を煙たがる向きがあるが言論人として煙たがるのはかまわないが、日本の発展を妨げている可能性は高い。

17.エリ・エリ・レマ・サバクタニ
恵比寿ガーデンシネマ
ガーデンシネマリニューアル後、初鑑賞。青山真治の熱烈なファンというわけでもないが遺作の「空に住む」を楽しんだのでタイミング合えば、観に行こうという状態。特にキャストも確認しないで行ったが、浅野忠信中原昌也宮崎あおい、更に筒井康隆。中原と筒井は異業種ということで、特に注目していたが、そこまで演技空間を乱すわけでもないが、場を占領するほどの存在感でもない。中原はこの映画の中でも音楽家なので、あまり無理のない配役。筒井は資産家という設定だが、まぁこれぐらいかという程度。最近はRADWIMPS野田洋次郎king gnuの井口理なども出ているが、残念ながら出てくるだけで映画を支配するような存在感はない。このブログで異業種役者特集をやってみたい。
浅野と中原が廃屋やごみ捨て場をディグって、楽器になりそうなものを自らのラボに集めて、音楽を作る。これだけで、EテレCS放送でいかにもありそうな番組だ。音を集めるというのは、最近観た「裸足で鳴らしてみせろ」のようでもある。どうやら、彼らの音楽が世界で蔓延している自殺感染症に効くらしい。「恋する寄生虫」も近いがやっぱりこの感染症と実存を変にクロスさせると幼稚に見えてしまう。ノイズパフォーマンスは楽しいので、それを観ているだけでもそこそこ楽しい。TOKYO FMが出資しているようだが、同じくラジオ局協力の金子修介の「Fエフ」は既成曲を掛けるラジオ局を舞台にした。編集が面白いところとしては、中原がビール瓶を横にしてクルクル回す時に回想シーンに入っていくのが楽しかった。

18.シン・仮面ライダー
TOHOシネマズ日本橋
辛いに1本線を加えると幸せになると辛ラーメンのCMでいっていた。変わったカメラ位置は好物のはずなのにやり過ぎるとなんだか締まりがなく見えてしまう。マフラーじゃなくてスカーフじゃ?と思っていると、歌の中でマフラーと歌われている。観る前から池松のダメ男然とした存在感がライダーと合うか疑問だったが、思ったよりダメ男だった。柄本佑のちょっと半笑いなニュアンスが良い。清野かと思ってたが浜辺だった。人間美人過ぎると似てしまうのか。悪役と主役チームの年齢があまりに近すぎて、狭い世界に見えてしまう。血が出るのもなんだか、カッコ悪く見える。独り言もなんだか気になる。

19.長靴をはいた猫
TOHOシネマズ日本橋
クマさんやデブがとにかく楽しい。友を想え、そして死を恐れるなというメッセージの堂々とした態度が素晴らしい。アニメーションとしても手書き風になったり、何て言うのか知りませんがとにかく楽しい。子供の頃、絵本で読みましたが、こんなにスペイン語圏のノリだったっけと思いましたが、この映画オリジナルなのね。

20.山谷やられたらやりかえせ
素人の乱12号天
別途ブログ。

21.青春弑恋
シネマート新宿
台湾ニューシネマフォロワーらしいが、確かに頷ける。日本で最新の台湾ニューシネマフォロワーは「ある殺人、落葉のころに」などの三澤拓哉も並べたい。今考えると「ある殺人、落葉のころに」って「夜を走る」と並べたくなる作品のような気がする。ストーカーの男とポルノに出た女優の不思議な運命。レズビアン描写があるけれど、この映画では自活できなくなって友達に頼るが、そこで仕掛ける。「エゴイスト」でも生活のための同性愛を描いていたが、シンクロした。

22.メグレと若い女の死
シネマカリテ新宿

落ち着き切った映画。この落ち着きが心地よかった。それこそアメリカ映画の自力を「クライ・マッチョ」に感じるように、この映画でフランス映画の自力を感じる。これぐらいの肩の入り方が気持ち良い。

23.郊外の鳥たち
渋谷イメージフォーラム
「春江水暖」と合わせて紹介されていたりもするため、気になり鑑賞。ズームイン、ズームアウトの多用からして、この不思議な美意識は観たことない。ホン・サンスも引き合いに出されているようだが、ちょこちょこ多用するのは、あまり観たことない。カメラを固定で首回すだけとズームインアウトが多いのも面白い。このカメラ美学で犯罪ドラマを作っても面白そうだ。この映画は過去と現在で、過去パートはこのカメラ技法を使わない。カラーリングなどで、お金はたくさん掛かっていないのに、鮮やかで面白い。ヒッチコックの似たタイトルの映画があった。

海外
新作11本
旧作0本
計11本
日本
新作4本
旧作8本
計12本