TはTOKYOのTのブログ

映画ログを中心にしております。映画館での鑑賞が中心です。旧作より新作が過半数を超えるのが方針としてます。

2022年11月映画鑑賞


或る夜の殿様
国立映画アーカイブ
東宝特集で鑑賞。箱根を舞台に鉄道開発の対立を描く。と見せかけて嫌がらせのためにふと現れた青年を水戸藩主に仕立てあげて、越後屋の娘を嫁がせて恥を掻かせようとするコメディ。飯野蝶子が活躍しまくるのが見どころ。

アフターヤン
TOHO日比谷シャンテ
アジア人はロボットじゃないぞ。アジア被れの欧米人の目線を感じる。日本茶飲んで、座禅組んで、兵法読んでるフォーブスとか読んでいる層が思い浮かぶ。循環型世界観に驚いてもらっても構わないけれど、アジア人の私が感心するようなことではない。アジアルーツ探求をするということかな。欧米が喜ぶアジアに見えてしまう。

2001年宇宙の旅
チネチッタ川崎
先輩世代がオールタイムベストに挙げることも多く決定的に評価されている作品ですが、劇場で観たことがないため鑑賞。三つのエピソードからの映画だったか。すごいけれど、どこを愛したらいいのかがあまりピンと来ない。先輩方に会ったら魅力を聞いてみよう。ラストの音楽だけがずっと鳴っているシーンが長く、待たせないでくれとイライラしてしまった。

江分利満氏の優雅な生活
国立映画アーカイブ
大学生の時になぜか、男の礼儀作法とはなんたるかみたいなことを考えだしてしまい、山口瞳の礼儀作法入門、続礼儀作法入門を読んだ。一見で入った居酒屋やバーでも堂々としてれば良いのだ、刺身のワサビは醤油に溶かずに乗せて食べろなどが書いてあった気がする。岡本喜八の監督なので、スピード感のある編集なのかなと思っていたが、どちらかというとギミックが豊富。具体的に書くと下着がオールドスタイルであることについてのシーンで、江分利がスーツ姿で歩いていてそこからナレーションで下着についての話になるとタンクトップ一丁になったり、パンツ一丁になったりする。また、江分利がオフィスで一人語りをすると背景の社員が止まって一通り語りつくすと社員がまた動き出す。江分利の説教などもあるけれど、それを後輩は半笑いで聞いているなど、シリアスになりすぎない演出も楽しい。

窓辺にて
TOHOシネマズ川崎
今泉力哉の映画のほっこり感があまりしっくりこず、また、編集としても長過ぎて締まりがないのが苦手で、更にいうと若い登場人物はみんな自分の考えがなくふんわりしていて、相手を攻撃しない。確かにそういう若い人は多いけれど、そんな若い人に惹かれないので、若い人を撮っているうちはパスでいいかなと思っていた。見ないで言っているわけではなく、昔、八王子に住んでいる時にわざわざ大森まで行って今泉力哉特集を見たりもした。今回、稲垣吾郎が主演ということでいつもより年齢が高い人を中心的に描くということで気になった。だけれど、あまり変化が見られなかった。日本映画では不倫を指摘するなり問い詰めることができない男を描くのが最近多い。これはコードのようになり過ぎていないか。今村昌平のうなぎでは、不倫している妻を殺していた。問い詰めることができない気弱な男を愛でているのかな。私は更にそこに、自らを惨めなポジションに置くことを意図する政治的意図すら感じとる。別に本当には興味がないことに気付いてしまい一方的に決定的に別れを表現した「甲州街道から愛を込めて」の方が新鮮に見えた。

ある男
TOHOシネマズ川崎
大人向け映画。「ゴーン・ガール」みたいな夫婦映画と見せかけて、西日本ヤクザミステリーと見せかけて、社会問題になっている二世問題を描く。真木よう子の不倫が最後に描かれていたが、あれはどう捉えたらいいだろう。サービス過ぎるように思えてしまった。柄本明が怪しい詐欺師役なのは、そりゃ余裕だろとも思ってしまった。更に彼が語っているときに刑務所なのに雨が降るのが面白い。

犯罪都市 THE ROUNDUP
TOHOシネマズ川崎
前作を観たことがないが充分楽しめる。背の高い穂畑を走るなんて、殺人の追憶を思い出す。エスカレーターの使い方は偶然と想像へのアンサーにも見える。犯人とキーマンの会長どちらもあまり深堀しないセンスが面白い。犯罪者も実をいうと色々大変なんだというウェットな感覚がなく、ドライな態度もジャンル映画として楽しい。この班のスピンオフ展開も見据えているのかもしれない。女性がほぼ出ないというのも今時珍しい。更にいうと男も顔の良い人があまりいない。会長の奥さんも腹に一物あんのかなと思わせておいて、そこまで深堀しない。ラスト近くでトンネルから帰る主人公とパトカーランプが映っている、刑事映画のクリシェが気持ち良い。打ち合げからのストップモーション

あちらにいる鬼
109シネマズ川崎
この後も続々発表される廣木隆一監督作。世界的に見てもそこそこ大規模で今年5本発表されるなんて珍しいのではないか。廣木の方が若いけれどスピルバーグリドスコと比較されたっていいはず。そりゃ公開時期が重なったんだろうけれどそれにしたってすごい。
トヨエツも寺島しのぶも愛がどうとか以前にチヤホヤされたい人に見えた。不倫はそもそも社交的でチヤホヤされるのが好きで元気じゃないとできないかなと思った。広い意味で愛嬌がある人なんだろうなと思った。寺島しのぶが出家したその日にトヨエツの部屋を訪ねるのなんて、本気の信仰とかは別にないんだろうなと思ってしまった。それにしたって「あなたが呼んでいる気がしたの」なんていえる人は可愛いだろう。トヨエツはオールドパー、高良は角でトヨエツが裏でバカにするがそんなの差異化ゲームに興じているだけじゃないか。それと時代描写として学生運動家を好意的に描くけれど、その後物語としては絡むわけでもなく少し浮いている。荒井晴彦脚本だから、ここはフェチポイントとして捉えればいいか。それとトヨエツの「会いに来たんじゃない。抱きに来たんだ」というセリフは最高に面白い。今年のベストセリフかもしれない。それでもこんなセリフを言える男の可愛さというか魅力があるんだろうなと思います。

ドント・ウォーリー・ダーリン
109シネマズ川崎
少しビバリウムという映画を思い出す欲望充足型箱庭映画。男の夢みたいなミュージカル幻想が楽しい。野暮かもしれないがストーリーとしては、以下
①妻が看護師で相手にしてもらえない夫がこんなの嫌だと思い、
マトリックスの世界に夫婦で入り、
③男の理想的な生活をしているが、
④妻がマトリックスに気付き
⑤夫を殺し、実際に死ぬ。そしてどうにか
マトリックスから抜け出す。
ここでなぜ②なのかがわからないと思ってしまった。こんな世界嫌だと思ったら、もう夫婦でマトリックスに行こうと思わず、自分だけで行きそうだな。もう妻に執着しないんじゃ?と思ったがそうでもないのかな。このマトリックスのなかでは50年代の大きな家と美しい妻というだいぶベタな欲望。日本では社宅みたい。今でもあるっちゃあるような気もする。

ザ・メニュー
TOHOシネマズ川崎
ドント・ウォーリー・ダーリンと近いけれど、こちらの方がジャンル映画っぽいノリ強め。アニャちゃんとニコラス・ホルトカップルと見えても実はコールガールか何かサービスの関係らしい。セブンみたいにこんな理由なのでこんな残虐な因果を客に見せつけるというのが一応の理由なんだけど、高級レストランなのに何度も来ている金持ち夫婦に「君らは食べたことは覚えていない」や俳優に「お前の映画は最低だ」や普通に金持ちの子供に「お前は学費ローンを背負わないで大学をでている」などどれも薄味な因縁の付け方が面白い。そんなに悪いかと戸惑ってしまう。さらにアニャちゃんがシェフのルーツとして、ハンバーガー屋だったことを知り、ハンバーガーを作ってもらいネットミームでいう「こういうのでいいんだよ」という孤独のグルメのようなノリになる。ハンバーガーってハンバーガージャンルで完結していて、ハンバーガー出身でガストロノミーの方向に進む人っているのかな。

ザリガニの鳴くところ
TOHOシネマズ川崎
渋めな法廷ミステリー。低俗な感想としては、そこそこ風通しが良い環境で人付き合いをした方がいいな。沼への差別ってこれはアメリカのなかでは一般的なのかな。

反逆児(1961)
Stranger
友人の家の近くにできた映画館だなと思っていたが、本当に近く100mぐらいの距離だった。そんな話を友人から聞いて改めてプログラムを確認したら伊藤大輔の映画を上映するのを見かけて鑑賞。最初チェックしたときヌーヴェル・ヴァーグ系が並んでいたので、フランスがお好きなのかなと思いましたが、今回のように日本映画も上映するようです。Strangerの参加者リストが上映前に出てきますが、アテネフランセの方が最初に出てきたので、フランス映画系の方が顧問的な立場なのかな。

カメラ位置のアイディアが良い。具体的には馬で移動しているが、馬にカメラをつけているよう。徳川家康役を佐野周二が演じているのが面白い。合戦映画なのかなと思いきや徳川家の嫁姑問題を描いた作品。信康が「一番怖いのは家だ」とセリフで言いますが、この家システムの犠牲者としての悲しみ。


恋や恋なすな恋
Stranger
今年観た映画で一番奇怪な映画。浄瑠璃ベースということで、渋い兄弟の権力争いかなと思っている
一面黄色の花畑にぶっ飛ぶ。そのほか、取っ組みあいの手前に布が掛けてあり、詳しくは見えないが薄く見える。歌舞伎映画だと一人が何役もするのはあるが、多くは男性だが、この作品では女性が三役。恋愛で三役だと混乱しづらい。さらに、不気味なキツネ面やラスト近くでは舞台がでてくる。同じ顔の人間が会ってしまう緊張感は何度見ても面白い。うまくいってるアネットみたいだ。

十三人の刺客
Stranger
125分中90分は緊張感があっていいのだけれど、最後の30分のアクションシーンがダラダラしていて残念。53対13の戦いの数字感がわかりずらい。この次にこのカットっていう設計が本当にあるのかな。なのに前半の構図がカッコいいので余計惜しく感じる。

てんやわんや
神保シアター
少し前にこの映画の上映直前に機材不良によりキャンセルされるということもあった。今回スクリーンでやっと観れた。朗らかな四国の人は可愛いけれど、饅頭早食いと街一周徒競走を競わせて爆笑しているなど不思議なおかしさがある。

夜明けの詩
white cinequint
映像詩なんていえばカッコよく聞こえるが、動きの少ないカメラと被写体で観ていてしんどくなる。また、大人しい映画なので、被写体も大人しい。見た目も大人しい。全てが大人しい。多かれ少なかれ映画は激しさがないとしんどい。後だしで結婚や亡くなった子供の話をされても、突貫に見えてしまう。バーの会話なんて、本当につまらないバーの会話だ。アベラワー飲んでみようかな。

左様なら今晩は
シネクイント
高橋名月監督。女性の若手監督というのは、後でわかった。名前としても、表現としてもジェンダーフリーな印象。若い女性監督は最近多くが21世紀の女の子出身だが、そこには絡んでおらず、独自路線。劇場には久保史緒里さんのファンらしき男性が多い。漫画原作らしいが端正な作り。もうちょっとスパイシーにしてほしい気もする。小野莉奈が演じる同僚のがっつきが面白い。

 

セールスマン(1969)
メイズルス兄弟の金字塔的なドキュメンタリー作品。評価が高いので知ってはいましたが、やっと観れた。森本あんりの反知性主義アメリカが生んだ「熱病」の正体を読んだときにこの聖書を訪問販売する怪しい仕事を知り気になってもいた。営業研修で使われたりもしそう。究極の営業かもしれない。

 

友だちの恋人
目黒シネマ
未見のロメール。いつも通りのロメールっぽい楽しさがある。男2女2の組み合わせ。恋の駆け引きが面白い。


愛についての歌
東京都写真美術館ホール
ポーランド映画祭で鑑賞。日本だと行定勲が監督しそうな作品。偉大な俳優を持つ息子が自立をしようとする映画。やっぱり二世って好きになれないな。

パン・タデウシュ物語
東京都写真美術館ホール
ポーランド映画祭で鑑賞。キツかった。どうキツいかというと、セリフがずっとあるのがキツい。言葉が多すぎる。なんだか眠くもなる。映画のリズムで、セリフのない映画を眠くなるとよくいうが、セリフが多すぎても眠くなるということがわかった。

誘拐(1997)

国立映画アーカイブ
飲み会でおすすめしてもらった。確かに良い。めちゃくちゃ、このトーンのジャンル映画を企業による水質汚染を取り扱っているのは珍しく挑戦的。東京で公衆電話を走らせる身代金受け渡しはどれかの本で読んだ。脚本と撮影どちらも良い。永瀬正敏が若者役でTOHOの映画があったのは意外。もっとアメリカインディー文脈とかのイメージがあったのでTOHOで抜擢されるぐらい大衆的に人気もあったのかな。

 

海外
新作8本
旧作3本
11本

 

日本
新作4本
旧作7本
11本